2023年、夏。
わたしは、実家がある大阪に、夫と共に帰省することになっていた。
帰省といっても、特にやることもなくダラダラと過ごしてしまうのはもったいない。
せっかくの長期休暇だし、どうせならどこかへお出かけをしてみたい…。
そこで、兵庫のほうに墓参りにいくついでに「姫路城」に寄ってみることにしたのである。
今回は、おとんとおかんとだんな。との4人旅である。
姫路城といえば、小学生のころに外から見たのが最後で、中に入ったことは一度もない。
合唱部のコンクールの会場が姫路城の近くだったので、コンクールが終わった後に、おかんと一緒に車の迎えを待ちながら、満月の月明かりに照らされる姫路城を見上げていた。
それが、わたしと姫路城の最後の記憶である。
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姫路城は大阪からすると少し遠い。
城や歴史がどうしても好きな人じゃないと、わざわざ行かないよな…という距離にある。
しかし、今回はレンタカーで兵庫へ日帰り旅行。
車でしか行けない距離にあるなら、今行くしかない!
それに、別名「白鷺城」とも呼ばれる、世界遺産の中に入ってみたい。
そんな軽い気持ちで向かったのである。
駐車場から降りてすぐに見えた姫路城は、白い。
古い記憶に残る姫路城は夜だったため、わからなかったが、白い。THE城という感じ。
城を思い浮かべてください。と言われたらまっさきに思い浮かぶ「城」のイメージそのものだった。
語彙力のないわたしは「すごい!綺麗!やっぱ姫路城いいね!」こんな感想しか出ない。
でも綺麗。美しい。
そんな感じ。
姫路城への入場料は、大人ひとり1000円。
今はどこも券売機でチケットを発券できるから、便利で楽ちん。
古き良き歴史と最新のテクノロジーがごっちゃになってるのも、それはそれで良きかな。
ー
チケットをもって入場すると、スタッフが大きな声で「この先自販機はありません。最後の自販機となります。見終わるまで2時間かかりますのでご注意ください」と呼びかけている。
2時間も暑い中歩くことになるとは、思わなかった。ちょっと気が引き締まる。
水も持ってなかったので、最後の自販機で、水を購入。
みんながここで水を買っていくせいなのか…。買った水は、ぬるくてちっとも冷たくなかった。
残念だけど、水がなくて熱中症で倒れてしまうより、全然ましだ。
おとんとおかんにもお水を買うように伝えて、いざ、姫路城へ。
ー
コロナも落ち着いてきてからしばらく経つので、姫路城までの道のりでは海外の方とすれ違うことが多かった。
日本で観光する海外の人をみると、いつも思うことがある。
海外のガイドブックには日本のどんな魅力が紹介されているのだろうか。少し気になっている。
海外の人がみる姫路城とわたしたち日本人が見る姫路城では、どんな違いがあるんだろう。
絶対に想像もできないし、考えもつかないことだからこそ、気になることである。
しかし、何よりも気になって仕方なったのは、姫路城から帰ってくる人たちだ。
みんなTシャツが汗びっしょりなのである。
色が完全に変わって、グラデーションTシャツになってしまっている人とたくさんすれ違う。
うちのおとんは「この先、どんなけ暑い場所がまってるんや。」とつぶやいている。
ただでさえ、駐車場から姫路城までの道のりだけで、汗をかいてしまっているのに不安しかない。
水を買っておいたのは、やはり正解だったのかもしれない。ありがとう。スタッフのお姉さん。
姫路城は照明もなく、太陽の光がなければ中の様子が見れないほど。
階段も昔ながらの、急な作りのままになっている。
地元、大阪城だと城の内部にエレベーターなどがあるが、それだと城の良さが薄れてしまう。
しかし、姫路城は順路がわかるように、カラーコーンが設置されているだけで、そのほかは城のままだ。
きっと、バリアフリーという意味ではよくないのだが、なるべく昔のままで残して欲しい。
それが城を観光する上での醍醐味なのだから。
ー
とはいっても、暑さには負けてしまうわたしの心。
このままの姫路城でいて欲しい気持ちと、でも、冷房くらいはつけてもいいんじゃないかという気持ちで、わたしの心はどっちつかず。
姫路城には冷房がない。
そのため、城内は本当に暑くて暑くて…。
行き道にすれ違っていた人たちの汗の原因がわかったのであった。
やっとてっぺんに着いた!と思えば、一番最上階は人がいっぱいで、簡単には動けない状態だった。
その上、冷房のない城内。
最上階はジメジメしたサウナ状態。なんだかんだで景色をサッと見てすぐに、降りるための階段に向かう人ばかりだ。
わたしも例によって、ちょっとだけ最上階からの景色を眺めてから、すぐに階段へ向かうことにした。
ー
下の階段は、急で滑りやすいので、注意が必要だ。
サウナからも解放されるという気持ちで、足取りは軽い。
でも注意して降りていく。
姫路城をあとにして、「最後にもう一回外から写真を撮ろう」
そう言って、おとんとおかんをぱしゃり。
両親と元気な姿で旅行に行けるのは、あと何回だろうか。
ずっと元気でいて欲しい。
ー
近くて遠い姫路城。
小学生の時におかんと見た姫路城は、今もなお、立派にわたしたちを見下ろしていた。
また行きたいな。
そんな姫路城でした。
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